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検索の新たな時代、SGE(Search Generative Experience)とは
この記事について
Googleが2023年5月10日に新たな検索システムSGEの開発を公表しました。
この記事では、公式ドキュメントを読み解いた上で、どのように検索システムが変わっていくのかをまとめたいと思います。
SGEとはどのようなものか
Google検索システムのAIに対するアプローチ
SGEとは、GoogleによるAIを利用した新しい検索システムです。
Googleの検索システムにおいて、AIを初めて導入したのは2001年で、これによりスペルミスやタイプミスに関係なく関連する結果をより早く得られるようにしました。
2019年にはBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を導入し、単語単位での検索から文脈での検索という、会話的なクエリを理解するようになり、そこから大規模言語モデル(LLM)、マルチタスク統一モデル(MUM)を適用することで検索の品質を向上してきました。
そして、現在、これらのモデルを強化したSGE (Search Generative Experience)が、開発され、検証されています。
SGEはどのようなものか
SGEでは、ユーザーの検索内容に基づいてAIが情報を整理し回答を生成することで、一度の検索で、整理された情報がより多く手に入ります。
上記の写真のように、今のgoogle検索結果画面と、SGEでの検索結果では、表示される項目が大きく変わっているのが分かります。
SGEでは、「検索に関連する情報や洞察をまとめた概要」「追加質問」「商品などの場合、レビューや評価、価格、画像」「関連性の高いコンテンツへのリンク」といった、ブロックで情報が表示されます。
SGEのなにが優れているか?
SGEで大きく変わる「検索」から「結論」までの道のり
従来の検索では、1つのクエリをもとに表示された、たくさんのサイトを一つずつ閲覧していくことで、情報を収集していたと思います。
この検索方法では、閲覧したサイトに欲しい情報がないことや、十分でないことも沢山あり、
それらを繋ぎ合わせ、求めている結論を導いたり、より求めている情報に近いクエリを1から考える作業が発生していました。
SGEでは、1つのクエリから、検索の意図をAIが考え、情報をまとめて回答します。これにより、求めている結論を導くために沢山のサイトを訪れる必要がなくなります。
また、会話モードでは以前検索したクエリと新しいクエリをAIが関連付けるため、少しずつ目的に近づくような検索ができます。ユーザーは結論に近いサイトを表示するようなクエリを、毎回考える必要がなくなります。
SGEは、従来の「情報を収集するためのクエリを考え、関連するサイトの情報を集めることで、結論を自分で導く」という、検索に対する考え方を「「何を求めているか」をAIに会話で伝え、結論を聞く」というシンプルな形に変えたものといえるでしょう。
SGE対策で考えられること
具体性・信頼性・専門性の高いコンテンツを作る
これまでの検索では、コンテンツに一致する「キーワード」が含まれるかどうか、という「キーワード」を基準とした考え方でした。これは文章などでの検索した場合も同様で、検索した「文章」が、コンテンツに含まれるかどうか。という観点で検索が行われていただけで、「キーワード」が文章だっただけです。
しかし今後は、検索クエリからAIが質問の意図を考え、求めている情報を理解します。「キーワード」が含まれていれば良いという訳でなく、求めている情報が含まれているかという、より検索の本質に近づいた情報が重要になってくるでしょう。
「キーワードを入れ込むだけ」のような上辺だけのSEO対策ではなく、具体性・信頼性・専門性の高い情報を発信し、ユーザーが求める情報にできる限り近い情報を発信することが、これまで以上に求められると考えられます。
Google広告の立ち位置
Google SGEによって変わらないこともあります。「Google広告」はそのうちの一つです。
公式のブログ(Google Japan Blog 「AI による新たな時代の Google 広告」)にもあるように、今後も、Google広告とオーガニック検索結果は区別して表示され、明確で透明性のある広告ラベルである、黒の太字での「スポンサー」ラベルが付くようです。
むしろ、スナップショットや会話モードの中にも広告が含まれていくように、テストしていくと語られている点から、Google広告がこれまで以上に、重要なコンテンツになってくるのではないでしょうか。
まとめ
Google SGEについて考えること
まだ、日本では検証することができませんが、検索の意図とは全く違った結果が現れたりと、現状では開発・検証段階ということもあってか改善すべき点は沢山あるようです。
いずれにせよ、これまでのようなサイトを検索する時代には終わりが来るのかもしれません。ChatGPTのようなAIが普及し、精度も日々高まる中で、検索して情報を収集するよりも圧倒的に効率の良い、直接「回答を聞く」という方向にシフトするのもユーザーにとっては利便性という点で当然のことです。
その為の対策を、今の段階から行い「信頼できる」と判断される情報を提供していくことが大切なのだと思います。